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3代目のホンダ・アコードって実際どうだった?当時の熱狂と今だからわかるリアルな乗り味

「1980年代のホンダ車って、本当に勢いがあったよね」という話を耳にすること、ありませんか?中でも1985年に登場した3代目のホンダ・アコード(CA型)は、セダンなのにパカッと開くリトラクタブルヘッドライトを採用するなど、当時の若者や車好きを熱狂させた名車なんです。

実はこのモデル、私にとって人生3台目の愛車でもありました。ちょうどマイナーチェンジ後のモデルを購入し、毎日のように走り回っていたんです。巷のスペック表だけでは見えてこない、実際に所有して分かった当時のリアルな体感や、今の愛車であるフィットRSと比べて感じる足回りの進化など、あの頃の空気感と一緒にお届けします。

未来感が凄かった!リトラクタブルライトがもたらした衝撃の低ノイズプロファイル

これ、覚えている方も多いと思うんですけど、当時の一般的な4ドアセダンといえば、四角い固定式のヘッドライトが当たり前の時代でした。

そんな中、3代目アコードセダンがリトラクタブルヘッドライトを引っ提げて登場した時の衝撃は、今でも忘れられません。スーパーカーさながらのギミックに、当時の私たちは胸を躍らせたものです。

このライトを採用した最大の理由は、フロントノーズ(ボンネットの先端部分)を限界まで低く抑えるためでした。どこかヨーロッパの香りが漂う、地を這うような薄いシルエットは、街中でも圧倒的な存在感を放っていたんです。

サラッとしたスタイリッシュな佇まいは、駐車場に停めて遠目から眺めるだけでも、所有する喜びをじんわりと満たしてくれる特別なデザインでした。

好みに合わせて選べた2つの「顔」

実はアコードには、途中で固定式ヘッドライトを備えたモデルも追加されました。海外仕様の雰囲気をまとったその姿も魅力的で、リトラクタブル派と固定ライト派で好みが真っ二つに分かれたのも良い思い出です。当時のラインナップの違いを簡単に表に整理してみました。

フロントマスクのタイプ 主な特徴 受ける印象
リトラクタブルライト(CA1〜CA3型など) ボンネットが極限まで低い未来的シルエット スポーティで若々しい、これぞホンダという佇まい
固定式4灯ヘッドライト(アコードCA) 欧州仕様の落ち着いた雰囲気 知的でエレガントな大人のセダン

どちらの顔を選んでも、ベースのスタイルの良さが引き立っていました。当時のホンダのデザインセンスには、本当に脱帽するばかりです。

FF量産車初!4輪ダブルウィッシュボーンが魅せたフランス車のような乗り味

3代目アコードの凄さは、見た目の格好良さだけにとどまりませんでした。足回りには、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)の量産セダンとしては世界初となる「4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション」が全車に採用されていたのです。

これ、知っている方も多いと思うのですが、本来は高級なレーシングカーなどに使われる複雑な仕組みなんですよね。

「こんなに低いボンネットの中に、よくこの足回りを収めたな」と、当時の自動車評論家やメカニックたちを唸らせた設計でした。実際にハンドルを握って走り出すと、その恩恵はすぐに体感できました。カーブを曲がるときに車体が無駄に傾かず、タイヤが路面にピタッと吸い付くように曲がっていく感覚です。

それでいて突っ張るような硬さはなく、しなやかに段差をいなしてくれる乗り味は、どこか上品なフランス車を思わせる心地よさがありました。休日のドライブで、ちょっとしたワインディングロードを見つけると、用もないのに遠回りしたくなったのを覚えています。

マニュアルかオートマか?過渡期に選んだATとDOHC2000ccの驚くべき実用燃費

1980年代後半といえば、車のトランスミッションがマニュアル(MT)からオートマチック(AT)へと本格的に移り変わる過渡期でした。「車好きならマニュアルで操るべきか、それとも快適なオートマにするべきか」と、当時の私もカタログを穴が開くほど見つめながら、最後まで頭を悩ませたものです。

結局、街乗りの快適さを優先して4速ATを選んだのですが、これが搭載されていたDOHC2000ccエンジン(B20A型)と絶妙にマッチしていました。アクセルを軽く踏み込むだけで、高回転までスルスルと気持ちよく伸びていくホンダらしいエンジンです。走りの楽しさを犠牲にすることなく、驚かされたのが長距離での実用燃費でした。

  • 街乗りでの普段使い: リッターあたり約9〜11キロ(エアコン使用時など状況による)
  • 高速道路や遠出: 驚きのリッター15キロを記録

2000ccのガソリンエンジン、傷みやすい古い4速ATという組み合わせを考えれば、この燃費はかなり優秀だったと言えます。ガソリン代を過度に気にすることなく、長距離ドライブへ気軽に連れ出せる頼もしい相棒でした。

スタイリッシュな4ドアセダンを襲った、維持する上での現実的な2つの壁

本当に気に入っていた車で、当時は「このまま乗り潰す覚悟」で大切に維持していました。しかし、年数が経過するにつれて、昭和の旧車ならではの現実的なトラブルが牙をむき始めます。特に頭を悩ませたのが、ボディの錆と電装系の寿命でした。

克服できたドア下の錆と、立ちはだかったエアコンの壁

当時の車に多く見られたのが、水が溜まりやすいドア下周りのサビです。私の車も例外ではなく、気がつけば茶色いサビが顔を覗かせていました。

これに関しては、板金修理を繰り返すことでなんとか克服し、綺麗な外観を保ち続けていたんです。しかし、本当に致命的だったのは別にありました。それは、エアコンの故障です。

ある年の初夏、生ぬるい風しか出なくなったエアコンを診てもらったところ、修理に見積もられた金額が予想を遥かに超える高額でした。当時はまだ現在のエアコンフロンガス(HFC-134a)ではなく、旧フロンガス(CFC-12)の時代だったこともあり、部品の確保も難しくなってきていたんです。

日本の厳しい夏をエアコンなしで乗り切るのは不可能ですし、かといって車検代を軽く超えるような修理費用を出すべきか。このエアコンの冷えない現実を前にして、泣く泣く手放す覚悟を決めました。形あるもの、いつかは寿命が来るとはいえ、お別れの日の寂しさは今でも胸に残っています。

時代による進化の不思議!今の愛車フィットRSと比べて気がついたこと

あの頃からずいぶんと年月が流れ、私の年齢も当時よりずいぶん上になりました。現在の私の愛車は、ホンダの「フィット e:HEV RS」です。コンパクトカーでありながら、走りの質にこだわったホンダのDNAを感じる1台なのですが、ここで面白いことに気がつきました。

3代目のアコードは、セダンならではの低い着座姿勢としなやかな足回りで、当時は最高に快適だと思っていました。しかし今思い返してみると、やや引き締まった硬めの味付けである、現代のフィットRS(あるいはかつてのシャトルなど)の方が、長距離を走ったときの疲れが圧倒的に少ないんですよね。

年齢を重ねた今の体だからこそ、シートの設計やボディ剛性、そしてハイブリッドシステムの進化による「静かさ」がいかに体力の消耗を防いでくれているかがよく分かります。最新の技術って、本当に凄いなと痛感させられます。

新旧ホンダ車の体感比較

当時の3代目アコードセダンと、現在のフィットRSのキャラクターを、私の独断と偏見による体感ベースで比較してみました。

比較項目 3代目アコード(2.0 DOHC) フィット e:HEV RS(現行型)
走りの質感 しなやかで低い視線、地面を滑るような感覚 ダイレクト感があり、キビキビと意のままに動く
長距離の疲労感 当時は快適だと思ったが、今思えばそれなりに振動があった 足回りは硬めなのに、なぜか体が全然疲れない
車内のプライベート感 低い天井に包まれる、独特のコクピット感 コンパクトなのに視界が広く、心のゆとりがある

どちらが良い悪いではなく、それぞれの時代におけるホンダの「走りのこだわり」が詰まっているのが見えてきて、車選びは本当に奥が深いなと感じます。

おわりに

リトラクタブルヘッドライトが象徴する美しいスタイルと、量産FF初となる4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを引っ提げて、時代を駆け抜けた3代目アコード。私にとっては、マニュアルとオートマの選択に悩み、燃費の良さに喜び、 tenderなエアコンの故障という旧車ならではの洗礼を受けながら、車の維持の難しさと楽しさを教えてくれた、忘れられない1台です。

今の車のような至れり尽くせりの快適性や絶対的な信頼性はありません。しかし、あの低いボンネット越しに見えた景色や、爽快に回るエンジンの音は、今でも鮮明に思い出すことができます。

当時の記憶を懐かしむ方も、これからクラシックなホンダ車に触れてみたいという方も、かつて日本の道を美しく彩ったスタイリッシュなセダンがあったという事実を、それぞれの愛車探しのちょっとした読み物として楽してもらえれば幸いです。